放課後等デイ 減算・実地指導 対策NULLSET LLC パックを見る
ホーム記事一覧 / 放課後等デイの非常災害対策・避難訓練|消防法・水防法・土砂災害防止法の実務(第40条)

放課後等デイの非常災害対策・避難訓練|消防法・水防法・土砂災害防止法の実務(第40条)

公開 2026-08-30 最終更新 2026-08-30 文責 合同会社ヌルセット

放課後等デイサービス(以下「放デイ」)の非常災害対策(避難訓練)は、児童福祉法の運営基準だけを見ていると回数の定めがなく、「定期的に」としか書かれていません。ところが実際には、消防法令が具体的な回数を定め、事業所の立地によっては水防法・土砂災害防止法という別の法律まで関わってきます。「うちは何回訓練すればいいのか」「消防計画さえあれば十分か」という疑問に、根拠法令ごとに整理して答えます。

なお、本記事は業務継続計画(BCP)の自然災害編(第38条の2)とは別のテーマです。BCPは「災害が起きても支援を止めない・早く再開する」ための計画、本記事の非常災害対策は「災害発生時に命を守る・避難する」ための体制です。両者は関連しますが条文上は別の義務であり、記事の後半でこの違いを整理します。

この記事でわかること


指定通所支援基準第40条の中身

根拠は「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号。以下「指定通所支援基準」)第40条(非常災害対策)です。放デイは第71条(準用)により、正確には「基準第71条において準用する第40条」が根拠になります。

条文は3項構成です(出典: e-Gov法令検索 指定通所支援基準 第40条)。

内容
第1項 消火設備その他必要な設備を設け、非常災害に関する具体的計画を立て、関係機関への通報・連絡体制を整備し、従業者に定期的に周知する
第2項 非常災害に備え、定期的に避難、救出その他必要な訓練を行う
第3項 訓練の実施にあたり、地域住民の参加が得られるよう連携に努める(努力義務)

こども家庭庁の解釈通知(28)の前にある(30)非常災害対策は、第1項の「非常災害に関する具体的計画」を次のように定義しています。

「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。

つまり第40条でいう「具体的計画」の中身は、消防法令上の消防計画とイコールです。ここから、非常災害対策の実務は消防法令を読まないと具体化できないことがわかります。訓練の回数は指定通所支援基準にも解釈通知にも数値の記載がありません(「定期的に」のみ)。回数を知るには、次章の消防法令を見る必要があります。

消防法令 — 放デイの用途区分・防火管理者・年2回以上の訓練

放デイは消防法施行令別表第一(六)項ハに位置づけられる

消防法施行令(昭和36年政令第37号)の別表第一は、防火対象物を用途ごとに区分しています。放デイは(六)項ハ(4)に位置づけられます(出典: e-Gov法令検索 消防法施行令 別表第一)。

(六)項ハ(4) 児童発達支援センター、児童心理治療施設又は児童福祉法第六条の二の二第二項に規定する児童発達支援若しくは同条第三項に規定する放課後等デイサービスを行う施設(児童発達支援センターを除く)

防火管理者の選任義務(収容人員30人以上)

消防法施行令第1条の2第3項第1号ロは、(六)項イ・ハ・ニ等の防火対象物について、収容人員が30人以上の場合に防火管理者の選任を義務づけています(出典: 同施行令 第1条の2第3項)。放デイ((六)項ハ)は原則この区分に入りますが、テナント入居で複合用途になる場合は建物全体で判断されるなど例外があるため、自事業所が該当するかは所轄消防署に確認してください

消火訓練・避難訓練は年2回以上、事前通報も必要

防火管理者を選任した事業所には、消防法施行規則第3条第10項・第11項が具体的な訓練義務を課しています(出典: e-Gov法令検索 消防法施行規則 第3条)。

第10項 令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項…に掲げる防火対象物の防火管理者は、消火訓練及び避難訓練を年二回以上実施しなければならない。 第11項 前項の防火管理者は…訓練を実施する場合には、あらかじめ、その旨を消防機関に通報しなければならない

「(六)項」全体(イ・ロ・ハ・ニ)が対象のため、放デイ((六)項ハ)も含まれます。つまり防火管理者を置く義務のある放デイは、年2回以上の消火・避難訓練+事前の消防機関への通報が明文で義務づけられているということです。指定通所支援基準第40条の「定期的に」を、消防法令が「年2回以上」まで具体化していると理解してください。

水防法・土砂災害防止法 — 避難確保計画とは何か

指定通所支援基準にも消防法令にも出てこない、もう1つの義務があります。水防法土砂災害防止法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)が定める「避難確保計画」です。放デイの立地によっては、これも法定義務になります。

トリガーは「市町村地域防災計画への位置づけ」

水防法第15条の3、土砂災害防止法第8条の2は、いずれもほぼ同じ構造で次のように定めています(出典: e-Gov法令検索 水防法・土砂災害防止法)。

市町村地域防災計画にその名称及び所在地を定められた要配慮者利用施設の所有者又は管理者は、…利用者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な訓練その他の措置に関する計画を作成しなければならない

「要配慮者利用施設」は「社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設」と定義されており、放デイもこれに該当し得ます。ただし義務が発生するのは、事業所が浸水想定区域・土砂災害警戒区域等に立地し、かつ市町村地域防災計画に名称・所在地を「定められた」場合に限られます。すべての放デイに一律に課される義務ではなく、ハザードマップと市町村の地域防災計画で自事業所が該当するかどうかをまず確認することが出発点です。

該当した場合にやるべきこと

該当する場合、水防法・土砂災害防止法とも共通して次の流れが求められます。

手順 内容
① 計画作成 避難確保計画(訓練その他の措置に関する計画)を作成する
② 報告 作成後、遅滞なく市町村長に報告する(変更時も同様)
③ 訓練実施 計画に基づき避難訓練を実施する
④ 結果報告 訓練の結果を市町村長に報告する
(努力義務) 自衛水防組織を置くよう努める

未作成の場合、市町村長は必要な指示ができ、正当な理由なく指示に従わなければその旨を公表できるとされています。過料・罰金の規定は、本記事で確認した条文の範囲(水防法第15条の3、土砂災害防止法第8条の2)には見当たりませんでした。

注意: 洪水(水防法)と土砂災害(土砂災害防止法)は別の法律・別の計画です。両方の警戒区域等に該当する立地の場合、それぞれ別個に計画を作成・報告する必要があると考えられますが、一体化した1つの計画で両方を兼ねてよいかどうかは、一次情報で明確な言及を確認できませんでした。該当する場合は市町村の防災担当部署に運用を確認してください

BCP(自然災害編)との違い

第40条の非常災害対策と、BCP(業務継続計画)の自然災害編は、どちらも「地震・水害への備え」を扱うため混同されがちです。整理すると次のようになります。

観点 非常災害対策(第40条) BCP自然災害編(第38条の2)
目的 災害発生時に命を守る(避難・救出) 災害後も支援を止めない・早く再開する(業務継続)
中心となる文書 消防計画(消防法施行規則第3条) 業務継続計画(厚労省ひな形)
訓練の回数 消防法令上年2回以上(防火管理者選任事業所) 解釈通知上年1回以上
対象となる事象 火災・地震・風水害等全般 自然災害・感染症(BCPは感染症編も別途あり)

避難訓練とBCP訓練は関連づけて実施すると効率的ですが、記録は別々に残すのが安全です(どちらの義務を満たした実施なのかが記録から読み取れるようにしておく)。

放デイ固有の論点

年間計画モデルとチェックリスト

実施内容
4月 消防計画の見直し・防火管理者の再確認/避難訓練①(事前に消防機関へ通報)
9月 風水害を想定した訓練(送迎中止基準・保護者連絡の確認)
10月 避難訓練②(地震想定・事前通報)
該当施設のみ 避難確保計画に基づく訓練の実施・市町村長への結果報告(時期は市町村の求めに応じる)
3月 消防計画・避難確保計画(該当施設)の見直し

出典一覧(すべて2026年8月11日参照)

免責

自分で作るなら、この記事の手順で足ります

消防計画の様式は所轄消防署から入手でき、避難確保計画の様式は国土交通省・市町村が公開している場合があります。この記事の一覧に沿って自事業所の立地・収容人員を確認し、訓練の記録を残せば、法定の要件は自力で満たせます。

放デイ運営に必要な法定研修・指針をまとめて整えたい場合は、放課後等デイの減算・実地指導対策パック(¥29,800 税込)を用意しています。編集可能なdocx形式 計13ファイルで、法定研修5本(虐待防止/身体拘束等適正化/感染症・食中毒予防/ハラスメント対策/BCP)+BCP記入例(自然災害編・感染症編)+虐待防止/身体拘束等適正化の指針+実地指導チェックリスト+情報公表転記準備シートをまとめたものです。消防計画・避難確保計画そのもののひな形は収録していません(消防法令・水防法・土砂災害防止法の様式は所轄消防署・市町村の様式を利用してください)。

※収録物の記入例・ひな形はそのまま使えるものではなく、貴事業所の実情に合わせた編集が必要です。士業の独占業務の代行ではなく、実地指導の結果・加算取得・監査通過を保証するものでもありません。デジタル商品のためダウンロード後の返金はお受けできません(ファイルの破損・不具合時は再送または返金で対応します)。

本記事は制度の理解を助けるための一般的な情報提供であり、行政書士・社会保険労務士等の独占業務の代行ではありません。ひな形・記入例はそのまま提出できるものではなく、各事業所の実態に合わせた編集が必要です。運営指導の結果・加算の取得・減算の回避を保証するものではありません。制度は改正されます。必ず指定権者(都道府県・市)およびこども家庭庁等の最新の公表資料をご確認ください。

研修も指針もBCPも、作る時間がない場合

この記事の手順どおりに自分で作れば費用はかかりません。時間のほうを買いたい場合は、放課後等デイに絞って編集可能なWord形式で一式にまとめたパックがあります。法定研修5本・虐待防止/身体拘束等適正化の指針・BCP記入例・実地指導チェックリスト・情報公表の転記シート。

放課後等デイ 減算・実地指導 完全パック(¥29,800・編集可docx)

記入例・ひな形は各事業所の実態に合わせた編集が必要です/士業の独占業務の代行ではありません/運営指導の結果を保証するものではありません。

あわせて読む放課後等デイのカスタマーハラスメント対策10月1日までにやることと、利用児対応との切り分け。放課後等デイの感染症・食中毒予防BCPとは別の義務。頻度と一体実施のコツ。放課後等デイの送迎バス安全装置・所在確認義務所在確認と装置設置、義務の範囲は別々。放課後等デイの苦情解決体制第三者委員は省令ではなく通知由来という整理。放課後等デイの事故発生時対応・報告義務「速やかに」の中身は指定権者ごとに違う。放課後等デイの情報公表制度(WAM NET)報告→承認申請→年1回更新を途切れさせない。