放課後等デイ 減算・実地指導 対策NULLSET LLC パックを見る
ホーム記事一覧 / 放課後等デイの送迎バス安全装置・所在確認義務|2023年義務化と経過措置終了後の実務(第40条の3)

放課後等デイの送迎バス安全装置・所在確認義務|2023年義務化と経過措置終了後の実務(第40条の3)

公開 2026-08-30 最終更新 2026-08-30 文責 合同会社ヌルセット

放課後等デイサービス(以下「放デイ」)で自動車を使って子どもを移動させる場面は、自宅・学校との送迎に限りません。校外学習やお出かけ活動での移動、通院への同行など、事業所外への移動全般が対象になります。この記事のテーマである「自動車を運行する場合の所在の確認」(指定通所支援基準第40条の3)は、送迎バスの置き去り事故を受けて2023年に新設された義務ですが、「所在確認そのものの義務」と「ブザー等の見落とし防止装置の設置義務」は対象範囲が違う、条文を正確に読まないと誤解しやすい制度です。

すでに施行から3年以上が経過し、装置設置が困難な場合の経過措置も2024年3月末で終了しています。「うちは補助金の対象時期を逃したから今から装置をつけなくていい」という誤解や、「送迎に車を使っていないから関係ない」という誤解も見かけるため、この記事では条文を一次情報で確認しながら、対象車両の線引きと放デイの実務を整理します。

この記事でわかること


根拠条文 — 指定通所支援基準第40条の3(基準第71条において準用)

根拠は「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号。以下「指定通所支援基準」)第40条の3(自動車を運行する場合の所在の確認)です。この条文は第二章(児童発達支援)に置かれていますが、放デイには第71条(準用)が働くため、正確には「基準第71条において準用する第40条の3」が根拠になります(この準用の構造は非常災害対策・虐待防止・BCPなどと同じです)。

条文は2項構成です(出典: e-Gov法令検索 指定通所支援基準 第40条の3)。

対象になる場面 求められること
第1項 障害児の事業所外での活動、取組等のための移動その他の障害児の移動のために自動車を運行するとき(送迎に限らない) 乗車・降車の際に、点呼その他確実な方法で障害児の所在を確認する
第2項 障害児の送迎を目的とした自動車日常的に運行するとき(一定の座席構成の車両を除く) 当該自動車にブザー等の見落とし防止装置を備え、降車の際の所在確認にこれを用いる

第1項の条文(要旨)は次のとおりです。

指定児童発達支援事業者は、障害児の事業所外での活動、取組等のための移動その他の障害児の移動のために自動車を運行するときは、障害児の乗車及び降車の際に、点呼その他の障害児の所在を確実に把握することができる方法により、障害児の所在を確認しなければならない。

第2項は次のとおりです。

指定児童発達支援事業者は、障害児の送迎を目的とした自動車(運転者席及びこれと並列の座席並びにこれらより一つ後方に備えられた前向きの座席以外の座席を有しないものその他利用の態様を勘案してこれと同程度に障害児の見落としのおそれが少ないと認められるものを除く。)を日常的に運行するときは、当該自動車にブザーその他の車内の障害児の見落としを防止する装置を備え、これを用いて前項に定める所在の確認(障害児の降車の際に限る。)を行わなければならない。

「所在確認義務」と「ブザー等装置の設置義務」は範囲が違う

条文を読むと、この2つの義務は対象範囲が異なることがわかります。

つまり「装置さえ付けていれば大丈夫」ではなく、装置の対象にならない移動でも点呼等での所在確認は常に必要、という理解が正確です。

装置設置義務の対象になる車両・ならない車両

第2項には除外規定があります。条文上、「運転者席及びこれと並列の座席並びにこれらより一つ後方に備えられた前向きの座席以外の座席を有しない」車両、つまり運転席の列と、その次の1列(前向き座席)しか持たない車両(標準的な2列シートの乗用車がこれに当たると考えられます)は、装置設置義務の対象から除外されます。

裏を返せば、3列目のシートを持つ車両(ミニバン・普通のワゴン車・送迎用マイクロバス等)を送迎に日常的に使う場合は、原則として装置設置義務の対象になります。国土交通省は装置に必要な技術要件を「降車時確認式」「自動検知式」の2方式で整理したガイドラインを策定しており、こども家庭庁はこのガイドラインに適合する装置のリストをウェブサイトで公表しています(出典: 国土交通省報道発表・こども家庭庁「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリストについて」)。自事業所の送迎車両がどちらに当たるか判断がつかない場合は、車検証の座席数・座席配置と条文の除外規定を照らし合わせて確認するか、指定権者に確認することをおすすめします。

経過措置はすでに終了しています

この省令は令和5年(2023年)4月1日に施行されました。第1項の所在確認義務そのものには経過措置はなく、施行日から即義務です。

第2項のブザー等装置の設置義務については、当時の附則(令和四年一二月二八日厚生労働省令第一七五号 附則第三条)により、装置の調達・設置が困難な事情がある事業者に限り、令和6年(2024年)3月31日までの間、装置を備えないことができるという経過措置が置かれていました。ただしこの場合も「ブザー等の設置に代わる措置を講じて障害児の所在の確認を行わなければならない」とされており、所在確認そのものを免除する規定ではありません(出典: e-Gov法令検索 指定通所支援基準 附則)。

この経過措置は令和6年3月31日で終了しており、本記事執筆時点(2026年8月13日)ではすでに全面義務化から2年以上が経過しています。「装置の導入がまだ済んでいない」状態は、現在は経過措置の範囲外です。

なお、条文とは別に、装置の安全計画(第40条の2)への位置づけも実務上重要です。指定通所支援基準第40条の2は、事業所ごとに設備の安全点検・安全に関する指導・研修訓練等をまとめた「安全計画」の策定を義務づけており(こちらも2023年4月1日施行、令和6年3月31日までは努力義務、令和6年4月1日から完全義務化という別の経過措置がありました)、送迎車両の所在確認・装置の運用ルールも安全計画に位置づけて周知するのが実務上の標準的なやり方です(出典: e-Gov法令検索 指定通所支援基準 第40条の2および附則第二条)。

専用の未実施減算はあるのか

本記事執筆時点(2026年8月13日)の一次情報を確認した範囲では、第40条の3(所在確認・ブザー等装置)違反そのものに紐づく専用の報酬減算は確認できませんでした。 他の義務(業務継続計画未策定・虐待防止措置未実施など)には明文の未実施減算が設けられていますが、この義務については見当たりません。

罰則がないという意味ではなく、指定基準違反として、実地指導での文書指摘・改善勧告の対象になり、改善が見られない場合は指定の効力停止・取消しに至り得る一般的な指導監査の枠組みの中で扱われると理解しておくのが安全です。専用減算がないことは「軽い義務」という意味ではありません。

放デイ特有の論点: 送迎バスだけでなく「外出時の移動」にも第1項は適用される

放デイの実務でよくある誤解が、「安全装置とセットの話」だと思い込み、送迎に自動車を使っていない、あるいは送迎バスがない事業所は関係ないと考えてしまうことです。しかし条文を正確に読むと、第1項(所在確認)は「事業所外での活動、取組等のための移動その他の障害児の移動」全般に及ぶため、以下のようなケースも対象になり得ます。

これらは「日常的な送迎」ではないため第2項(ブザー等装置)の対象にはなりませんが、乗車・降車時の点呼等による所在確認(第1項)は必要です。装置がない場面ほど、点呼の徹底が唯一の防止策になることを職員間で共有しておく必要があります。

準備・点検チェックリスト

よくある誤解を3つ

1) 送迎バスがない事業所は関係ない 第1項(所在確認)は送迎バスに限らず、事業所外への移動全般に適用されます。校外学習や通院同行での単発の車両利用でも、乗車・降車時の所在確認は必要です。

2) 装置さえ付ければ点呼はしなくていい 条文上、装置は「所在の確認」を行うための手段の1つであり、装置が故障・作動しない場面や、装置設置義務の対象にならない車両では、点呼等の人的な確認が必要です。装置の導入は点呼の代替ではなく補完と理解してください。

3) 経過措置があるからまだ猶予期間 装置設置が困難な場合の経過措置は令和6年(2024年)3月31日で終了しており、本記事執筆時点(2026年8月13日)ではすでに全面義務化から2年以上が経過しています。「猶予中」という認識は一次情報に照らすと誤りです。


出典一覧(すべて2026年8月13日参照)

免責

自分で作るなら、この記事の手順で足ります

対象車両の洗い出しと点呼の徹底ルール化は、この記事のチェックリストをそのまま使えば自事業所の情報を書き込むだけで進められます。特別なツールは要りません。

一方で、放デイ運営に必要な法定研修や指針をまとめて整えたい場合は、放課後等デイの減算・実地指導対策パック(¥29,800 税込)を用意しています。実地指導(運営指導)チェックリストには「送迎の安全管理(乗降車時の所在確認・見落とし防止)」という項目(E4)が含まれていますが、これはチェック欄のみで、本記事のような制度解説や条文根拠をまとめた専用ドキュメントではありません。パックの他の収録物(法定研修5本+BCP記入例+虐待防止/身体拘束等適正化の指針+情報公表転記準備シート)も、この送迎の所在確認・装置義務を直接カバーするものではない点にご注意ください。

※収録物の記入例・ひな形はそのまま使えるものではなく、貴事業所の実情に合わせた編集が必要です。士業の独占業務の代行ではなく、実地指導の結果・加算取得・監査通過を保証するものでもありません。デジタル商品のためダウンロード後の返金はお受けできません(ファイルの破損・不具合時は再送または返金で対応します)。

本記事は制度の理解を助けるための一般的な情報提供であり、行政書士・社会保険労務士等の独占業務の代行ではありません。ひな形・記入例はそのまま提出できるものではなく、各事業所の実態に合わせた編集が必要です。運営指導の結果・加算の取得・減算の回避を保証するものではありません。制度は改正されます。必ず指定権者(都道府県・市)およびこども家庭庁等の最新の公表資料をご確認ください。

研修も指針もBCPも、作る時間がない場合

この記事の手順どおりに自分で作れば費用はかかりません。時間のほうを買いたい場合は、放課後等デイに絞って編集可能なWord形式で一式にまとめたパックがあります。法定研修5本・虐待防止/身体拘束等適正化の指針・BCP記入例・実地指導チェックリスト・情報公表の転記シート。

放課後等デイ 減算・実地指導 完全パック(¥29,800・編集可docx)

記入例・ひな形は各事業所の実態に合わせた編集が必要です/士業の独占業務の代行ではありません/運営指導の結果を保証するものではありません。

あわせて読む放課後等デイの苦情解決体制第三者委員は省令ではなく通知由来という整理。放課後等デイの事故発生時対応・報告義務「速やかに」の中身は指定権者ごとに違う。放課後等デイの非常災害対策・避難訓練消防法で年2回、該当施設は避難確保計画も。放課後等デイの感染症・食中毒予防BCPとは別の義務。頻度と一体実施のコツ。放課後等デイの人員配置基準10人まで2人、超えたら5人ごとに1人という計算式。放課後等デイのカスタマーハラスメント対策10月1日までにやることと、利用児対応との切り分け。