放課後等デイの人員配置基準|児童指導員等の員数・資格要件を条文で確認(第66条)
放課後等デイサービス(以下「放デイ」)の人員配置基準は、「児童指導員か保育士を2人以上」という要約だけが独り歩きしがちですが、条文を実際に読むと利用障害児の数に応じた計算式・機能訓練担当職員や看護職員の扱い・重症心身障害児を通わせる事業所の別基準・常勤要件まで、複数の要素が組み合わさった構造になっています。実地指導では「勤務形態一覧表」の提出を求められ、この計算式どおりに配置できているかを確認されます。
この記事では、根拠条文(指定通所支援基準第66条)と、児童指導員の資格要件を定める別の省令(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第43条)を一次情報で確認し、放デイの人員配置基準を整理します。
この記事でわかること
- 根拠条文(指定通所支援基準第66条)が定める従業者の員数の計算式
- 児童指導員・保育士の合計数を障害児の数から算出する式(10人まで2以上、10人超は5またはその端数ごとに1加算)
- 児童発達支援管理責任者(児発管)の1以上配置・うち1人以上は専任かつ常勤という要件
- 機能訓練担当職員・看護職員を置く場合の追加配置と例外(医療的ケアの委託等)
- 主として重症心身障害児を通わせる事業所の別基準(嘱託医・看護職員等)
- 児童指導員の資格要件11項目(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第43条。号数は一〜十だが「三の二」を含むため実質11項目)
- 常勤要件(児童指導員又は保育士のうち1人以上は常勤)
- 準備・点検のためのチェックリスト
根拠条文 — 指定通所支援基準第66条(従業者の員数)
根拠は「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号。以下「指定通所支援基準」)第66条(従業者の員数)です。第40条の2(安全計画)や第52条(事故発生時対応)などが第2章(児童発達支援)の規定を第71条で放デイに準用しているのに対し、この第66条は第5章(放課後等デイサービス)に置かれた放デイ固有の条文で、準用ではなく直接適用されます(出典: e-Gov法令検索 指定通所支援基準 第66条)。
条文は8項構成です。
| 項 | 求められること |
|---|---|
| 第1項第1号 | 児童指導員又は保育士を、単位ごとに提供時間帯を通じて専ら従事する合計数で、障害児の数に応じた式以上配置 |
| 第1項第2号 | 児童発達支援管理責任者を1以上 |
| 第2項 | 機能訓練を行う場合は機能訓練担当職員を、医療的ケアが恒常的に不可欠な障害児がいる場合は看護職員を、それぞれ配置(ただし例外あり) |
| 第3項 | 機能訓練担当職員等が専ら従事する場合、その数を児童指導員・保育士の合計数に含めてよい |
| 第4項 | 主として重症心身障害児を通わせる事業所の別基準(嘱託医・看護職員・児童指導員又は保育士・機能訓練担当職員・児発管、各1以上) |
| 第5項 | 「単位」の定義(同時に1人または複数の障害児に一体的に提供されるサービス) |
| 第6項 | 児童指導員又は保育士のうち1人以上は常勤 |
| 第7項 | 機能訓練担当職員等の数を含める場合、児童指導員又は保育士の合計数の半数以上は児童指導員又は保育士であること |
| 第8項 | 児発管のうち1人以上は専任かつ常勤 |
児童指導員・保育士の合計数 — 障害児の数からの計算式
第1項第1号の条文(要旨)は次のとおりです(出典: 同条文)。
指定放課後等デイサービスの単位ごとにその提供を行う時間帯を通じて専ら当該指定放課後等デイサービスの提供に当たる児童指導員又は保育士の合計数が、イ又はロに掲げる障害児の数の区分に応じ、それぞれイ又はロに定める数以上 イ 障害児の数が十までのもの 二以上 ロ 障害児の数が十を超えるもの 二に、障害児の数が十を超えて五又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上
つまり計算式は次のとおりです。
| 障害児の数 | 必要な児童指導員又は保育士の合計数(単位ごと) |
|---|---|
| 10人まで | 2人以上 |
| 11〜15人 | 3人以上(2+1) |
| 16〜20人 | 4人以上(2+2) |
| 21〜25人 | 5人以上(2+3) |
「5またはその端数を増すごとに1を加える」という文言のとおり、10人を1人でも超えた時点で3人目が必要になり、以降5人刻みで1人ずつ増える計算です。ここでいう「単位」とは、同時に1人または複数の障害児に一体的にサービス提供が行われる単位を指し(第5項)、多機能型事業所などで複数単位を運営する場合は単位ごとにこの計算をします。
児童発達支援管理責任者(児発管) — 1以上・うち1人以上は専任かつ常勤
児発管は指定通所支援基準第5条で「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第四十九条第一項に規定する児童発達支援管理責任者をいう」と定義されており、同基準では「障害児通所支援又は障害児入所支援の提供の管理を行う者としてこども家庭庁長官が定めるもの」とされています(出典: 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第49条第1項)。放デイでは第66条第1項第2号により1以上の配置が必要で、第8項によりそのうち1人以上は専任かつ常勤でなければなりません。
児発管になるための具体的な実務経験年数・研修修了(基礎研修・実践研修等)の要件は、この2つの省令自体には数字が書かれておらず、別途こども家庭庁長官が定める告示・通知で規定されています。本記事の調査範囲では、この告示・通知の内容(必要な実務経験の年数区分・研修体系)まで一次情報で逐条確認するには至っていません。具体的な要件は必ずこども家庭庁または指定権者(都道府県)の最新の公表資料でご確認ください。
機能訓練担当職員・看護職員 — 置く場合と、置かなくてよい場合
第2項は、次の場合にそれぞれ追加配置を求めています(出典: 同条文)。
- 日常生活を営むのに必要な機能訓練を行う場合 → 機能訓練担当職員
- 日常生活・社会生活を営むために医療的ケア(人工呼吸器管理・喀痰吸引等)を恒常的に受けることが不可欠な障害児がいる場合 → 看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師)
ただし、次のいずれかに該当する場合は看護職員を置かないことができます。
- 医療機関等との連携により、看護職員を事業所に訪問させて医療的ケアを行う場合
- 社会福祉士及び介護福祉士法の登録に係る事業所で、喀痰吸引等のみを必要とする障害児に、登録を受けた者(職員等)が業務として喀痰吸引等を行う場合
- 同法附則の登録に係る事業所で、特定行為のみを必要とする障害児に、登録を受けた者が業務として特定行為を行う場合
なお第3項により、機能訓練担当職員等が単位ごとの提供時間帯を通じて専ら従事する場合は、その人数を児童指導員・保育士の合計数に含めることができます。ただし第7項により、この場合でも児童指導員又は保育士自体が合計数の半数以上を占めていなければなりません。機能訓練担当職員等を頭数に含めれば済む、という単純な話ではない点に注意が必要です。
主として重症心身障害児を通わせる事業所は別基準(第4項)
主として重症心身障害児を通わせる指定放デイ事業所には、第1項〜第3項とは異なる別基準が適用されます(出典: 同条第4項)。
| 職種 | 員数 |
|---|---|
| 嘱託医 | 1以上 |
| 看護職員 | 1以上 |
| 児童指導員又は保育士 | 1以上 |
| 機能訓練担当職員 | 1以上(機能訓練を行わない時間帯は不要) |
| 児童発達支援管理責任者 | 1以上 |
主として重症心身障害児を対象とする事業所を運営する場合は、上記の別基準が適用されることを、一般の放デイ基準(第1項)と混同しないよう注意してください。
児童指導員の資格要件 — 別の省令(第43条)が定める11項目
児童指導員として配置できる人の資格要件は、指定通所支援基準そのものではなく、別の省令「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和23年厚生省令第63号)第43条(児童指導員の資格)が定めています(出典: 同基準 第43条)。主な類型は次のとおりです(全11項目のうち抜粋。号数は一〜十だが、「三の二」(こども家庭ソーシャルワーカー)が三号と四号の間に追加されているため実質11項目ある。号数表記は原文どおり)。
| 号 | 資格・経歴の概要 |
|---|---|
| 一号 | 都道府県知事の指定する児童福祉施設職員養成校等の卒業者 |
| 二号 | 社会福祉士の資格を有する者 |
| 三号 | 精神保健福祉士の資格を有する者 |
| 三の二号 | こども家庭ソーシャルワーカーの資格を有する者 |
| 四号 | 大学(短期大学を除く)で社会福祉学・心理学・教育学・社会学等を専修し卒業した者 |
| 五号〜七号 | 大学院への飛び入学・大学院修了・外国の大学での同分野の卒業者 |
| 八号 | 高校卒業等の学歴要件+2年以上児童福祉事業に従事した者 |
| 九号 | 幼稚園・小学校等の教諭免許を有し、都道府県知事が適当と認めた者 |
| 十号 | 3年以上児童福祉事業に従事した者であって、都道府県知事が適当と認めた者 |
保育士については、児童福祉法上の保育士資格を有する者(登録・資格証交付を受けた者)であれば、放デイの人員配置基準上は児童指導員と同列に扱われます(第66条第1項第1号)。
加算による上乗せ配置との違い
放デイには、基礎配置(本記事の第66条)に加えて、児童指導員等加配加算などの加算によって上乗せ配置を行う仕組みが別途あります。加算の算定要件(必要な人員数・単位数)は基礎配置の基準とは別の告示・通知で定められており、本記事は指定を維持するために最低限必要な基礎配置(必置人員)を扱っています。加算による上乗せ配置の詳細な要件は本記事の対象外とし、別途こども家庭庁・指定権者の公表資料でご確認ください。
準備・点検チェックリスト
- □ 単位ごとの障害児の数から、必要な児童指導員又は保育士の合計数を計算式(10人まで2以上、超えたら5人ごとに1加算)で確認している
- □ 児童指導員又は保育士のうち1人以上が常勤であることを勤務形態一覧表で確認している
- □ 児童発達支援管理責任者を1以上配置し、うち1人以上が専任かつ常勤であることを確認している
- □ 配置している児童指導員が、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第43条の資格要件のいずれかを満たしていることを、資格証・経歴の写しで確認・保管している
- □ 機能訓練を行っている場合は機能訓練担当職員を、医療的ケアが恒常的に不可欠な障害児がいる場合は看護職員(または例外要件を満たす体制)を配置している
- □ 機能訓練担当職員等の数を児童指導員・保育士の合計数に含める場合、半数以上が児童指導員又は保育士であることを確認している
- □ 主として重症心身障害児を通わせる事業所である場合、第4項の別基準(嘱託医・看護職員等)で配置している
- □ 加算による上乗せ配置を算定している場合、基礎配置の要件と加算要件を別々に満たしていることを確認している
よくある誤解を3つ
1) 「児童指導員か保育士が2人以上いればよい」で足りる 障害児の数が10人を超えると、5人またはその端数を増すごとに1人ずつ追加が必要です。定員拡大や利用実績の増加に応じて計算し直す必要があります。
2) 児発管は1人配置すれば常勤・非常勤を問わない 第66条第8項は「1人以上は専任かつ常勤」と定めており、配置している児発管全員が非常勤・兼務では要件を満たしません。
3) 児童指導員の資格要件は指定通所支援基準に書かれている 児童指導員の資格要件(11項目)は指定通所支援基準ではなく、別の省令「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第43条に定められています。根拠条文を混同しないよう注意してください。
出典一覧(すべて2026年8月14日参照)
- e-Gov法令検索・法令API「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号) https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015 (現行revisionの本文をAPIで直接取得・確認: https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/424M60000100015_20251001_507M60000002080?response_format=xml )
- 第5条(児発管の定義)、第66条(従業者の員数)
- e-Gov法令検索・法令API「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和23年厚生省令第63号) https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100063 (現行revisionの本文をAPIで直接取得・確認: https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323M40000100063_20260401_508M60000002010?response_format=xml )
- 第43条(児童指導員の資格)、第49条第1項(児童発達支援管理責任者の定義)
免責
- 本記事は放課後等デイサービス事業者向けの一般的な情報提供です。児童発達支援管理責任者の具体的な実務経験年数・研修修了要件、加算の算定要件は、こども家庭庁の告示・通知に基づき別途定められており、本記事では条番号レベルまでの逐条確認には至っていません。必ずこども家庭庁・指定権者(都道府県)の最新の公表資料でご確認ください。
- 本記事に記載した条番号は、2026年8月14日時点でe-Gov法令APIから確認したものです。制度は改正されるため、実務適用前に必ず原典で再確認してください。
- 本記事および当社の提供物は、社会保険労務士等の独占業務の代行ではありません。効果や法令適合、行政指導の回避を保証するものではありません。
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