放課後等デイの児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件|実務経験年数・基礎研修/実践研修を告示で確認
放課後等デイサービス(以下「放デイ」)には児童発達支援管理責任者(以下「児発管」)を1人以上配置しなければならず、そのうち1人以上は専任かつ常勤である必要があります(指定通所支援基準第66条)。ここまでは配置数の話ですが、「では誰が児発管になれるのか」という資格要件は、配置基準を定める省令には数字が一切書かれていません。実務経験の年数・研修の種類は、別の告示に委任されています。
この記事では、その委任先である平成24年厚生労働省告示第230号を一次情報で確認し、児発管になるための実務経験要件と研修体系(基礎研修→実践研修→更新研修)を整理します。
この記事でわかること
- 児発管の資格要件が、指定通所支援基準や児童福祉施設の設備及び運営に関する基準ではなく、別の告示(こども家庭庁長官が定めるもの)に委任されている根拠条文
- 実務経験要件の骨格(相談支援の業務・直接支援の業務・資格保有者としての業務、それぞれの年数の組み合わせパターン)
- 研修体系(基礎研修→OJT(実務2年以上)→実践研修→5年ごとの更新研修)の順序と時間数
- 児発管が欠けた場合のみなし児発管制度(原則1年、条件により2年)
- 過去にあった経過措置(現在は終了済み)
- 準備・点検のためのチェックリスト
根拠条文 — 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第49条第1項
児発管の定義そのものは、指定通所支援基準ではなく「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和23年厚生省令第63号)第49条第1項に置かれています(出典: e-Gov法令検索、同基準第49条第1項)。
児童発達支援管理責任者(障害児通所支援又は障害児入所支援の提供の管理を行う者としてこども家庭庁長官が定めるものをいう。以下同じ。)を置かなければならない。
このとおり、条文は「こども家庭庁長官が定めるもの」への委任規定になっており、具体的な資格要件(実務経験年数・研修)は条文自体には一切記載がありません。この委任を受けているのが、次に説明する告示です。
委任先 — 平成24年厚生労働省告示第230号
児発管の資格要件を具体的に定めているのは、「障害児通所支援又は障害児入所支援の提供の管理を行う者としてこども家庭庁長官が定めるもの」(平成24年3月30日厚生労働省告示第230号)です(出典: 厚生労働省法令等データベースシステム)。もともとは「厚生労働大臣が定めるもの」という名称でしたが、令和5年厚生労働省告示第167号によりタイトルが「こども家庭庁長官が定めるもの」に改称されています。以後も度重なる改正を経て現在に至っており、直近では令和8年3月31日こども家庭庁告示第6号(令和8年4月1日から適用)まで改正が加えられていることを確認しています。
この告示は、児発管の要件を第一号(実務経験)と第二号(研修)の2階建てで定めています。両方を満たして初めて児発管になれます。
第一号 — 実務経験要件の骨格
条文(第一号)は、次のイ〜ヘに区分した業務従事期間の組み合わせで実務経験者の要件を定めています。読み解くと、代表的な3パターンに整理できます。
| パターン | 必要な組み合わせ(骨格) |
|---|---|
| ① 相談支援中心 | イ(相談支援の業務)+ロ(直接支援の業務)を通算5年以上、かつそのうちハ(老人福祉施設等での相談支援・直接支援)を除いた期間が3年以上 |
| ② 直接支援中心 | ニ(社会福祉主事任用資格者等でない者の直接支援の業務)を通算8年以上、かつそのうちホを除いた期間が3年以上 |
| ③ 混合パターン | イ・ロ・ニを通算した期間からハ・ホを除いた期間が3年以上、かつヘ(国家資格保有者としての業務)が通算5年以上 |
条文が定める業務区分(要旨)は次のとおりです。
- 相談支援の業務(イ): 相談支援事業・児童相談所・障害児入所施設・特別支援学校・病院等で、障害のある者または児童の日常生活の自立に関する相談に応じ、助言・指導その他の支援を行う業務
- 直接支援の業務(ロ・ハ・ニ・ホ): 入浴・排せつ・食事その他の介護、または日常生活における基本的な動作の指導・知識技能の付与・生活能力の向上のための訓練その他の支援を行う業務。社会福祉主事任用資格者等(社会福祉士・保育士・児童指導員の資格要件該当者等)かどうかによって、同じ従事先でも区分(ロ/ニ)と算入条件が変わります
- 資格保有者としての業務(ヘ): 医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・言語聴覚士・管理栄養士・精神保健福祉士・公認心理師等が、その資格に基づく業務に従事した期間
この年数計算は個々の職歴によって複雑に分岐します。従事先の施設種別・当時の資格の有無によってイ〜ヘのどこに算入されるかが変わるため、職員の職歴を年数計算に当てはめる際は、必ず指定権者(都道府県)に個別に確認してください。この記事はパターンの骨格を示すものであり、個別の年数算定を保証するものではありません。
第二号 — 研修体系(基礎研修→実践研修→更新研修)
実務経験要件を満たしただけでは児発管にはなれません。次の研修を修了する必要があります(告示第二号、別表第一・第三・第四)。
| 段階 | 研修名 | 時間数 | 要件 |
|---|---|---|---|
| 1 | 児童発達支援管理責任者基礎研修 | 講義7.5h+演習7.5h=計15h | 実務経験者となるまで2年以内の者、または実務経験者に対して実施 |
| (OJT) | — | — | 基礎研修修了後、実践研修受講開始日前5年間に通算2年以上、相談支援の業務または直接支援の業務に従事 |
| 2 | 児童発達支援管理責任者実践研修 | 計14.5h | 上記OJTの要件を満たした基礎研修修了者が受講。修了して初めて「児発管」になれる |
| 3(以降反復) | 児童発達支援管理責任者更新研修 | 計13h | 実践研修修了日の属する年度の翌年度を初年度として5年度ごとに受講。修了しないと基礎研修修了者とみなされ、実践研修からやり直しになる |
つまり、児発管になるまでの流れは「実務経験(パターン①〜③のいずれか)+基礎研修(15h)+実務2年以上のOJT+実践研修(14.5h)」で、児発管になった後も5年ごとに更新研修(13h)を受けないと資格を維持できません。更新研修を受けないまま5年度の末日を過ぎると、実践研修修了者ではなく基礎研修修了者とみなされ、実践研修を改めて修了しない限り児発管に戻れません(告示第五号)。
児発管が欠けたときの特例 — みなし児発管制度
やむを得ない事由で児発管が欠けた場合、告示第七号は次の救済措置を定めています。
- 事由の発生日から1年間は、実務経験者であれば、要件を満たしているものとみなす(みなし児発管)
- ただし、みなし児発管が基礎研修修了者であり、事由発生日以前から引き続き当該事業所に配置されている場合は、実践研修修了者になるまでの間、最長2年間まで延長される
急な退職等で児発管が不在になった場合でも、直ちに指定取消し等になるわけではなく、この猶予期間内に後任の確保・研修受講を進めることが想定されています。ただし「実務経験者であること」自体は免除されないため、無資格・無経験の職員をみなし児発管として置くことはできません。
過去にあった経過措置(現在は終了済み)
告示第三号・第四号には、平成31年度の研修制度改正(基礎研修・実践研修の2段階化)に伴う経過措置が置かれていましたが、いずれも令和6年3月31日または基礎研修修了から3年経過時点で既に期限を迎えています。現在新たに児発管を目指す場合は、上記の「基礎研修→OJT→実践研修」という原則ルートのみで判断してください。
準備・点検チェックリスト
- □ 配置している児発管が、実務経験パターン①〜③のいずれかを満たしていることを、職歴証明書等で確認・保管している(判定が微妙な場合は指定権者に確認済み)
- □ 児発管が基礎研修修了証明書を保有していることを確認している
- □ 児発管が、基礎研修修了後5年以内に通算2年以上の相談支援・直接支援の業務に従事した実績(OJT要件)を確認している
- □ 児発管が実践研修修了証明書を保有していることを確認している
- □ 実践研修修了日から5年度ごとの更新研修の受講期限を、法人内でカレンダー管理している
- □ 児発管が欠けた場合に備え、みなし児発管制度(原則1年・条件により2年)の要件と手続きを把握している
- □ 新たに児発管候補者を育成する場合、実務経験の年数計算を職員任せにせず、指定権者への事前確認を予定に組み込んでいる
よくある誤解を3つ
1) 児発管の資格要件は指定通所支援基準に書かれている 指定通所支援基準は「1以上配置、うち1人以上専任常勤」という配置数を定めているだけです。資格要件(実務経験・研修)は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第49条第1項が委任する別の告示(平成24年厚生労働省告示第230号)に定められています。
2) 実務経験の年数を満たせば、研修なしでも児発管になれる 実務経験(第一号)と研修(第二号)は両方必須です。実務経験者であっても、基礎研修・OJT・実践研修を経なければ児発管にはなれません。
3) 一度児発管になれば、資格はずっと有効 実践研修修了後も、5年度ごとに更新研修を受けなければ資格を維持できません。更新研修を怠ると基礎研修修了者とみなされ、児発管の要件を再び満たさなくなります。
出典一覧(すべて2026年8月17日参照)
- e-Gov法令検索・法令API「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和23年厚生省令第63号) https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100063 (法令データ取得: https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323M40000100063?response_format=xml )
- 第49条第1項(児童発達支援管理責任者の定義・委任規定)
- 厚生労働省法令等データベースシステム「障害児通所支援又は障害児入所支援の提供の管理を行う者としてこども家庭庁長官が定めるもの」(平成24年厚生労働省告示第230号、現行) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab2794&dataType=0&pageNo=1
- 第一号(実務経験要件)、第二号(研修体系)、第三号〜第五号(経過措置)、第七号(みなし児発管制度)、別表第一・第三・第四(研修時間数)
免責
- 本記事は放課後等デイサービス事業者向けの一般的な情報提供です。実務経験の年数計算(告示第一号のイ〜ヘのどこに該当するか)は職歴によって個別性が高く、本記事のパターン整理は骨格を示すものにとどまります。個々の職員の該当可否は、必ず指定権者(都道府県)に確認してください。
- 本記事に記載した告示の内容は、2026年8月17日時点で厚生労働省法令等データベースシステムから確認したものです。当該告示は令和8年3月31日こども家庭庁告示第6号まで複数回の改正を経ており、今後も改正され得ます。実務適用前に必ず最新の告示原文で再確認してください。
- 本記事および当社の提供物は、社会保険労務士等の独占業務の代行ではありません。効果や法令適合、行政指導の回避を保証するものではありません。
自分で作るなら、この記事の手順で足ります
職員の職歴を整理し、実務経験パターンのどれに該当しそうかを仮判定してから指定権者に確認する、という進め方は、この記事の構成をそのまま使えば自事業所の情報を書き込むだけで進められます。特別なツールは要りません。
一方で、放デイ運営に必要な法定研修や指針をまとめて整えたい場合は、放課後等デイの減算・実地指導対策パック(¥29,800 税込)を用意しています。実地指導(運営指導)チェックリストには「人員基準(児童指導員・保育士等、児発管、管理者)を満たす勤務形態一覧表」という項目が含まれていますが、これはチェック欄のみで、本記事のような児発管の資格要件そのものを解説した専用ドキュメントではありません。パックの他の収録物(法定研修5本+BCP記入例+虐待防止/身体拘束等適正化の指針+情報公表転記準備シート)も、児発管の資格要件を直接カバーするものではない点にご注意ください。
※収録物の記入例・ひな形はそのまま使えるものではなく、貴事業所の実情に合わせた編集が必要です。士業の独占業務の代行ではなく、実地指導の結果・加算取得・監査通過を保証するものでもありません。デジタル商品のためダウンロード後の返金はお受けできません(ファイルの破損・不具合時は再送または返金で対応します)。
研修も指針もBCPも、作る時間がない場合
この記事の手順どおりに自分で作れば費用はかかりません。時間のほうを買いたい場合は、放課後等デイに絞って編集可能なWord形式で一式にまとめたパックがあります。法定研修5本・虐待防止/身体拘束等適正化の指針・BCP記入例・実地指導チェックリスト・情報公表の転記シート。
放課後等デイ 減算・実地指導 完全パック(¥29,800・編集可docx)記入例・ひな形は各事業所の実態に合わせた編集が必要です/士業の独占業務の代行ではありません/運営指導の結果を保証するものではありません。