放デイのサービス提供記録・個別支援計画・事故記録は何年保存すればいいか|整備義務と区分経理の条文根拠
放課後等デイサービスの運営基準には、「どんな記録を整備するか」だけでなく「整備した記録を何年間保存するか」「会計をどう区分するか」まで、具体的に定めた条文があります。実地指導では記録の"存在"だけでなく"保存年限を守っているか"も確認対象になり得ますが、この保存年限は条文上、児童発達支援の規定(第53条・第54条)が放課後等デイサービスに準用される形で定められています。この記事では、その準用構造と保存年限・区分経理の条文原文を、e-Gov法令検索で確認した範囲で整理します。
この記事でわかること
- 放デイの記録整備・保存義務の根拠条文(第71条による第53条・第54条の準用構造)
- 「5年間保存」の対象となる6種類の記録と、保存期間の起算点
- 区分経理(会計の区分)義務の条文内容
- この基準が「従うべき基準」ではなく「参酌すべき基準」である点(自治体条例で異なる定めがあり得る理由)
- 実地指導での記録確認との関係
根拠条文の構造 — 第71条が児童発達支援の規定を準用する
放課後等デイサービスの記録整備・区分経理義務は、「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号)の第四章(放課後等デイサービス)に独自の条文があるのではなく、第二章(児童発達支援)の条文を第71条が準用するという構造になっています。第71条は次のとおり定めています(e-Gov法令検索で確認、2026年8月18日時点)。
第十二条から第二十二条まで、第二十四条から第三十条まで、第三十二条、第三十四条から第四十五条まで、第四十七条から第五十条まで、第五十一条第一項及び第五十二条から第五十四条までの規定は、指定放課後等デイサービスの事業について準用する。この場合において、(中略)第二十六条第一項、第二十七条及び第五十四条第二項第二号中「児童発達支援計画」とあるのは「放課後等デイサービス計画」と読み替えるものとする。
つまり、記録整備・保存を定める第54条と、区分経理を定める第53条は、この第71条の準用リストに含まれており、「児童発達支援計画」を「放課後等デイサービス計画」に読み替える以外はそのまま放デイに適用される、と条文上確認できます。
記録の整備・保存(第54条) — 6種類の記録と「提供した日から5年間」
第54条は2項構成です。第1項は保存期間の定めのない一般的な整備義務、第2項が保存期間つきの具体的な記録です。
第五十四条 指定児童発達支援事業者は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。 2 指定児童発達支援事業者は、障害児に対する指定児童発達支援の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、当該指定児童発達支援を提供した日から五年間保存しなければならない。
第2項各号に列挙された6種類の記録(放デイに読み替えた場合)は次のとおりです。
| 号 | 記録の内容 | 根拠(準用元の条文) |
|---|---|---|
| 一 | サービス提供の記録(提供日・内容等を提供の都度記録) | 第21条第1項 |
| 二 | 放課後等デイサービス計画(個別支援計画) ※読み替え規定により明記 | 第26条・第27条(児童発達支援計画から読み替え) |
| 三 | 通所給付決定保護者の不正行為に関する市町村への通知記録 | 第35条 |
| 四 | 身体拘束等の記録(態様・時間・心身の状況・やむを得ない理由等) | 第44条第2項 |
| 五 | 苦情の内容等の記録 | 第50条第2項 |
| 六 | 事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録 | 第52条第2項 |
保存期間の起算点は「当該指定放課後等デイサービスを提供した日」からで、6種類とも一律「5年間」です。条文上、記録ごとに異なる年数は定められていません。また、第1項の「従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録」については、条文上、保存年限そのものは明記されておらず、整備義務のみが定められている点も、原文で確認した範囲で明記しておきます。
会計の区分(第53条) — 事業所単位・事業単位の二重の区分
区分経理の根拠は第53条です。
第五十三条 指定児童発達支援事業者は、指定児童発達支援事業所ごとに経理を区分するとともに、指定児童発達支援の事業の会計をその他の事業の会計と区分しなければならない。
放デイに読み替えると、①指定放課後等デイサービス事業所ごとに経理を区分すること、②放課後等デイサービスの事業の会計を、それ以外の事業(例えば同一法人が営む児童発達支援・生活介護・訪問看護など)の会計と区分すること、の二重の区分が求められる構造です。複数事業所・多機能型事業所を運営する法人ほど、この区分経理の実務(部門別会計・按分方法の整備)が実地指導・監査での確認対象になりやすいと考えられますが、按分方法そのものの具体的な計算式は本条には定められていません。
この基準は「従うべき基準」ではなく「参酌すべき基準」
第1条は、都道府県が条例を定める際に基準ごとの拘束力の強さ(従うべき基準/標準とすべき基準/参酌すべき基準)を列挙していますが、第53条・第54条は第1条の列挙(第1号〜第11号)に含まれておらず、第12号の「参酌すべき基準」に該当します。「参酌すべき基準」は、条例制定時に地域の実情に応じて異なる定めを置くことが可能な基準です。したがって、保存年限が自治体条例で上乗せ(5年より長い期間)されている可能性は理論上あり得ますが、本記事で確認した一次情報の範囲では、具体的にどの自治体がどのような上乗せをしているかまでは確認していません。指定権者(都道府県・政令市・中核市等)の条例・要綱で5年と異なる定めがないか、実務上は必ず確認してください。
実地指導での確認との関係
記録の保存年限は、実地指導における書類確認の前提になります。当社の別記事(実地指導対策)でも「提供記録・個別支援計画・市町村への通知に係る記録・身体拘束等の記録・苦情の内容等の記録・事故の記録を、提供した日から5年間保存しているか」という確認項目を扱っていますが、本記事はその保存年限・区分経理の条文根拠そのものを掘り下げた記事であり、実地指導対策の記録チェックリスト全体は既存記事(実地指導対策)を参照してください。
点検チェックリスト
- □ サービス提供記録・放課後等デイサービス計画・市町村への通知記録・身体拘束等の記録・苦情の内容等の記録・事故の記録の6種類が、それぞれ「提供した日から5年間」保存されているか
- □ 5年より前に廃棄していないか(起算点は個々のサービス提供日であり、事業所の開設日や利用者の卒業日ではない)
- □ 従業者・設備・備品・会計に関する諸記録が整備されているか(保存年限の定めはないが整備義務はある)
- □ 事業所ごとに経理が区分されているか、放デイ事業の会計とその他事業の会計が区分されているか
- □ 指定権者(都道府県・政令市・中核市等)の条例・要綱で、5年と異なる保存年限の定めがないか確認したか
出典一覧(すべて2026年8月18日参照)
- e-Gov法令検索「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号) https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015 (本文確認は厚生労働省法令等データベースサービス版でも実施: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab2618&dataType=0&pageNo=1 )
- 第1条(基準の従うべき基準/標準とすべき基準/参酌すべき基準の列挙。第53条・第54条は列挙外=参酌すべき基準)
- 第21条第1項(サービス提供の記録)、第35条(市町村への通知)、第44条第2項(身体拘束等の記録)、第50条第2項(苦情の内容等の記録)、第52条第2項(事故の状況・処置の記録)
- 第53条(会計の区分)
- 第54条(記録の整備、保存年限「提供した日から五年間」)
- 第71条(準用規定。第53条・第54条を含む条文を放課後等デイサービスの事業に準用し、「児童発達支援計画」を「放課後等デイサービス計画」に読み替える旨)
自己チェック(FACTORY.md検品チェックリスト5項目)
- テンプレ元混入なし: 他記事(jogengaku-kanri.md等)の文言・数値・固有名詞をコピーせず、本記事は本セッションでe-Gov法令検索(厚労省法令等データベース版)を直接取得して新規に執筆した。grepで他記事との文言重複を確認し、条文引用部分以外の一致なし。
- 価格の一致: 末尾CTAの価格「¥29,800(税込)」は、curlでhttps://nullset.jp/houdei/ を直接取得し、ページ内表記(29,800円/税込)と一致することを確認済み(2026-08-18)。
- 返金条件1行の配置: CTA直下に「デジタル商品のため返金不可(破損時は再送/返金対応)」を1行で配置(既存記事と同一文言・同一位置)。
- 参照ファイル名の実在整合: 本文中「実地指導対策」への言及は既存ファイル
jitchi-shido.md(/Users/fumitake/drip-co/factory_out/20260723/seo01_houdei_articles/jitchi-shido.md) を指しており、実在を確認済み。存在しないファイル名への言及なし。 - 制度系数値の一次情報突合: 「5年間」「第53条」「第54条」「第71条」「第21条第1項」「第35条」「第44条第2項」「第50条第2項」「第52条第2項」はすべて本セッションでe-Gov法令検索・厚労省法令等データベースの条文原文を直接取得して確認済み(孫引きなし)。「参酌すべき基準」である点は第1条の列挙を直接確認して判定。自治体条例による具体的な上乗せ事例の有無は未確認のため、本文中で「未確認」と明記し断定を避けた。
免責
- 本記事は放課後等デイサービス事業者向けの一般的な情報提供です。自治体条例による保存年限の上乗せの有無・具体的な按分方法等、指定権者ごとの運用の違いまでは本記事の一次情報確認の範囲では特定できていません。実務適用前に必ず指定権者(都道府県・政令市・中核市)の最新の条例・要綱でご確認ください。
- 本記事に記載した内容は、2026年8月18日時点でe-Gov法令検索により確認したものです。制度は改正されるため、実務適用前に必ず原典で再確認してください。
- 本記事および当社の提供物は、社会保険労務士・税理士等の独占業務の代行ではありません。区分経理の具体的な会計処理方法(勘定科目・按分計算)は税理士等の専門家にご確認ください。効果や法令適合、行政指導の回避を保証するものではありません。
自分で作るなら、この記事の手順で足ります
第53条・第54条・第71条の条文をそのまま確認し、6種類の記録の保存年限(提供した日から5年間)と区分経理の要件をチェックリスト化する作業は、この記事の手順で進められます。特別なツールは要りません。
一方で、法定研修・BCP・身体拘束等適正化の指針など、放デイ運営に必要な書類一式をまとめて整えたい場合は、放課後等デイの減算・実地指導対策パック(¥29,800 税込)を用意しています。本記事のような記録の保存年限・区分経理の条文解説そのものを扱う専用ドキュメントではありません。パックの収録物(法定研修5本+BCP記入例+虐待防止/身体拘束等適正化の指針+実地指導チェックリスト+情報公表転記準備シート)は、本記事のテーマ(保存年限・区分経理)を直接カバーするものではない点にご注意ください。
※収録物の記入例・ひな形はそのまま使えるものではなく、貴事業所の実情に合わせた編集が必要です。士業の独占業務の代行ではなく、実地指導の結果・加算取得・監査通過を保証するものでもありません。デジタル商品のためダウンロード後の返金はお受けできません(ファイルの破損・不具合時は再送または返金で対応します)。
研修も指針もBCPも、作る時間がない場合
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