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放課後等デイサービスの法定研修|種類と頻度を一覧+年間計画に落とす(2026年7月版)

公開 2026-07-23 最終更新 2026-07-23 文責 合同会社ヌルセット

「うちの事業所、年間で何の研修を何回やればいいんだっけ?」——放課後等デイサービス(以下、放デイ)の管理者・児童発達支援管理責任者から、運営指導(実地指導)前によく出る質問です。

やっかいなのは、放デイの法定研修は介護保険の事業所とルールが違うこと。放デイは児童福祉法に基づく障害児通所支援で、所管はこども家庭庁。根拠となる省令は「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号。以下「指定基準」)です。介護保険向けのひな形をそのまま流用すると、委員会の頻度も研修回数もズレます。

この記事でわかること


1. 放デイの法定研修は「指定基準」+「解釈通知」の二段構え

指定基準の本文(省令)は、ほとんどの項目で「定期的に実施しなければならない」としか書いていません。回数の目安は、こども家庭庁(旧・厚生労働省)の解釈通知「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成24年3月30日障発0330第12号、最終改正 令和6年3月29日こ支障第94号)に書かれています。

また、放デイの条文は児童発達支援の条文を準用する形になっています。指定基準第71条が「第三十四条から第四十五条まで(中略)の規定は、指定放課後等デイサービスの事業について準用する」と定めているため、以下の表の条番号は児童発達支援の条番号で読んでください(出典: e-Gov法令検索 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第71条)。


2. 【一覧表】放デイの法定研修・訓練・委員会と頻度

項目 根拠(指定基準/放デイは第71条で準用) 頻度
虐待防止委員会 第45条第2項第1号 定期的に開催。解釈通知で「少なくとも1年に1回は開催することが必要
虐待防止研修 第45条第2項第2号 定期的(解釈通知で「年1回以上」)+新規採用時は必ず
虐待防止担当者の配置 第45条第2項第3号 必置(解釈通知では児発管等を配置)
身体拘束適正化検討委員会 第44条第3項第1号 定期的に開催。解釈通知で「少なくとも1年に1回は開催することが必要」(令和6年改正で「望ましい」→「必要」に)
身体拘束等の適正化のための指針 第44条第3項第2号 整備(回数の定めなし)
身体拘束等の適正化のための研修 第44条第3項第3号 定期的(解釈通知で「年1回以上」)+新規採用時は必ず
感染対策委員会 第41条第2項第1号 定期的に開催。解釈通知で「おおむね3月に1回以上」+流行期は随時
感染症・食中毒の予防及びまん延の防止のための指針 第41条第2項第2号 整備(回数の定めなし)
感染症・食中毒の予防及びまん延の防止のための研修 第41条第2項第3号 定期的(解釈通知で「年2回以上」)+新規採用時は必ず
感染症の予防及びまん延の防止のための訓練 第41条第2項第3号 定期的(解釈通知で「年2回以上」)。机上・実地を組み合わせる
業務継続計画(BCP)の策定・周知・見直し 第38条の2第1項〜第3項 策定し周知、定期的に見直し
BCP研修 第38条の2第2項 定期的(解釈通知で「年1回以上」)。新規採用時に別途実施が望ましい
BCP訓練(シミュレーション) 第38条の2第2項 定期的(解釈通知で「年1回以上」)。机上+実地を組み合わせる
非常災害対策:避難・救出その他必要な訓練 第40条第2項 「定期的に」。省令上の回数指定なし(後述の消防法令に注意)
安全計画に基づく職員の研修及び訓練 第40条の2第1項・第2項 「定期的に」。回数指定なし
ハラスメント防止のための措置(方針明確化・相談体制) 第38条第4項 措置義務。研修回数の定めはない

※上記の頻度のうち「年1回以上」「年2回以上」「おおむね3月に1回以上」は省令本文ではなく解釈通知の記載です。指定権者(都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市)が独自により厳しい運用や様式を求める場合があるため、必ず自分の指定権者が公表している集団指導資料・自己点検表で確認してください。


3. ここを間違えやすい:委員会の頻度 ≠ 研修の頻度

一覧表を見て気づくポイントを3つ。

3-1. 感染症は「委員会おおむね3月に1回以上」「研修・訓練は年2回以上」

感染対策委員会は年4回ペース、研修と訓練はそれぞれ年2回です。介護保険の通所系事業所向け記事では別の回数が書かれていることが多いので、放デイでそのまま使わないでください。

3-2. 虐待防止と身体拘束は「委員会は年1回以上」「研修も年1回以上」

どちらも解釈通知で「少なくとも1年に1回は開催することが必要」。なお解釈通知は、虐待防止委員会と身体拘束適正化検討委員会を一体的に設置・運営することも差し支えないとしています(虐待防止委員会の中で身体拘束等の適正化を検討する形を含む)。小規模事業所ではこの一体運営が現実的です。

さらに研修についても、「虐待防止に関する研修において身体拘束等の適正化について取り扱う場合は、身体拘束等の適正化のための研修を実施しているものとみなして差し支えない」とされています(同解釈通知)。ただし、記録上どの項目を扱ったかが読み取れないと「実施した」と説明できません。レジュメに項目立てを残しましょう。

3-3. 感染症の研修・訓練とBCP(感染症編)の研修・訓練は一体実施できる

解釈通知は、感染症に係る業務継続計画の研修・訓練について「感染症の予防及びまん延の防止のための研修(訓練)と一体的に実施することも差し支えない」としています。回数の重い感染症側(年2回以上)に合わせて設計すれば、BCP感染症編(年1回以上)も同時に満たせる構成にできます。

3-4. 避難訓練は「指定基準」より「消防法令」のほうが具体的

指定基準第40条第2項は「定期的に避難、救出その他必要な訓練を行わなければならない」とだけ定め、回数を示していません。一方、消防法施行令別表第一では放課後等デイサービスを行う施設は(六)項ハに位置づけられており(出典: e-Gov 消防法施行令 別表第一)、防火管理者を定めなければならない防火対象物に該当する場合、防火管理者は消火訓練及び避難訓練を年2回以上実施しなければなりません(出典: e-Gov 消防法施行規則 第3条第10項)。あわせて、実施前に消防機関へ通報する義務もあります(同条第11項)。

防火管理者の選任義務の有無は収容人員によって変わり((六)項ハ単独なら収容人員30人以上、(六)項ロの用途が入る複合用途なら10人以上など。出典: e-Gov 消防法施行令 第1条の2第3項)、テナント入居の場合は建物全体で判断されます。自事業所が該当するかは所轄消防署に確認してください。


4. 記録に何を残すか(運営指導で確認されやすい箇所)

省令は研修の様式を定めていませんが、解釈通知は虐待防止・身体拘束・感染症・BCPのいずれについても「研修の実施内容について記録すること」を求めています。実務上は、次の項目が揃っていれば説明できます。

保存年数についても押さえておきましょう。指定基準第54条第2項は、身体拘束等の記録・苦情の記録・事故の記録などを「当該指定通所支援を提供した日から5年間保存」と定めています(放デイは第71条で準用)。また令和6年改正後の解釈通知は、虐待防止委員会・身体拘束適正化検討委員会における対応状況について「適切に記録の上、5年間保存すること」と明記しました。委員会議事録も5年で揃えておくのが安全です。

なお、指定通所支援の基準は都道府県等が条例で定める仕組みになっており(省令が基準)、保存年数の起算点や対象書類の範囲について自治体ごとに運用の幅があることが知られています。何年・どの書類が対象かは指定権者の条例・要綱で確認してください(本記事では個別自治体の条例までは確認していません)。


5. 年間計画モデル(4月〜3月)

回数が重い感染症を軸に、一体実施できるものを束ねた例です。そのまま使うのではなく、自事業所の行事・人員配置に合わせて編集してください。

実施内容 カバーできる義務
4月 新年度オリエンテーション(新規採用者向け:虐待防止+身体拘束+感染対策の3本) 新規採用時の研修
4月 感染対策委員会①/避難訓練①(消防機関へ事前通報) 委員会・消防法令
6月 感染症・食中毒予防研修①+感染症まん延防止訓練①(BCP感染症編の研修・訓練と一体実施) 感染症研修/訓練、BCP研修/訓練
7月 感染対策委員会②/安全計画に基づく研修(水遊び・送迎・救急対応の実技) 委員会、安全計画
9月 虐待防止委員会(身体拘束適正化検討委員会と一体開催)/虐待防止研修+身体拘束等適正化研修 委員会・研修(虐待/身体拘束)
10月 感染対策委員会③/避難訓練②(地震想定) 委員会・消防法令
11月 BCP(自然災害編)研修+訓練(机上+実地) BCP研修/訓練
12月 感染症・食中毒予防研修②+訓練②(ノロ対策の嘔吐物処理実技) 感染症研修/訓練
1月 感染対策委員会④/ハラスメント防止の方針周知・相談窓口の再周知 委員会、第38条第4項
3月 BCP・安全計画・各指針の見直し/年間の実施記録の点検 定期見直し

この組み方で、感染症研修2回・感染症訓練2回・感染対策委員会4回・虐待防止研修1回・身体拘束研修1回・BCP研修1回・BCP訓練1回・避難訓練2回を満たせます。


6. そのまま使えるチェックリスト(年度末の自己点検)

年度の締めに、以下を上から順に確認してください。□が埋まらない項目が、運営指導で確認される可能性が高い箇所です。

規程・指針類

委員会

研修・訓練

記録


7. 2026年12月25日から:児童対象性暴力等の防止(要準備)

指定基準に第46条(児童対象性暴力等の防止)が新設され、2026年(令和8年)12月25日に施行されます。放デイについても、指定基準第71条の準用範囲が「第三十四条から第五十条まで」に改められ、第46条が適用対象に入ります(出典: e-Gov法令検索 同基準 令和7年内閣府令第104号による改正後の第46条・第71条、施行日2026年12月25日)。

条文は、障害児と接する業務に従事する者について犯罪事実確認その他の必要な措置を講じなければならない、という内容です。条文自体は「研修」を義務づけていませんが、体制整備と記録が必要になるため、年間計画に準備タスクとして入れておくことをおすすめします。具体的な運用(確認の手順、対象者の範囲、記録の扱い)は今後こども家庭庁から示される通知等で確認してください。本記事執筆時点(2026年7月23日)では未施行のため、詳細は要確認事項として扱っています。


8. よくある間違い3つ

  1. 介護保険の頻度を流用する:障害児通所支援とは委員会・研修頻度の考え方が異なります。放デイは児童福祉法の指定基準と、こども家庭庁の解釈通知を根拠にしてください。
  2. 委員会と研修を1つの記録で済ませる:委員会(検討する場)と研修(教育の場)は別の義務です。同日開催は可能ですが、議事録と研修記録は分けて残すのが安全です。
  3. 減算は報酬改定のたびに作り直されると思う:委員会・研修・訓練に関する減算は令和6年度改定で創設されたもので、その後も維持されています。令和6年度改定では、虐待防止措置未実施減算(所定単位数の1%)、身体拘束廃止未実施減算(訪問・通所系は所定単位数の1%)、業務継続計画未策定減算(放デイは100分の1)が設けられました(出典: こども家庭庁 こども家庭審議会障害児支援部会 資料1「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(障害児関係)」)。 なお、令和8年度にも障害福祉サービス等報酬改定が行われています(令和8年こども家庭庁告示第5号/令和8年6月施行)。ただしその内容は処遇改善加算の拡充と、令和8年6月1日以降に新規指定された放デイ事業所等への応急的な報酬単価の特例が中心で、上記3つの減算は放課後等デイサービス給付費でいずれも所定単位数×99/100(1%減算)のままです(出典: こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」)。改定の内容にかかわらず、委員会・研修・訓練を実施していなければ減算の対象になり得ます。減算の適用可否は指定権者の判断によるため、最新の告示・留意事項通知と自治体の公表資料で必ず確認してください。

出典一覧(すべて2026年7月23日参照)


自分で作るなら、この記事の手順で十分です

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免責

本記事は制度の理解を助けるための一般的な情報提供であり、行政書士・社会保険労務士等の独占業務の代行ではありません。ひな形・記入例はそのまま提出できるものではなく、各事業所の実態に合わせた編集が必要です。運営指導の結果・加算の取得・減算の回避を保証するものではありません。制度は改正されます。必ず指定権者(都道府県・市)およびこども家庭庁等の最新の公表資料をご確認ください。

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記入例・ひな形は各事業所の実態に合わせた編集が必要です/士業の独占業務の代行ではありません/運営指導の結果を保証するものではありません。

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