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放デイの自己評価・保護者評価の公表義務と未公表減算(100分の85)|「公表したのに減算」を防ぐ届出の話

公開 2026-07-27 最終更新 2026-07-27 文責 合同会社ヌルセット

「自己評価はホームページに載せた。だから大丈夫」——放課後等デイサービス(以下、放デイ)の自己評価・保護者評価で、いちばん危険な思い込みがこれです。国の留意事項通知は、この減算(自己評価結果等未公表減算)を「公表が都道府県に届出がされていない場合に減算する」と定めています。公表しただけで届出をしていない事業所は、公表済みでも減算対象になり得ます

しかもこの減算は、身体拘束やBCPの「1%減」型とは桁が違い、所定単位数が100分の85になる(=15%減)型です。放デイは児童福祉法に基づく障害児通所支援(所管はこども家庭庁)なので、介護保険の運営情報公表と混同せず、児童福祉法体系の一次情報で確認する必要があります。この記事は、e-Gov法令検索の運営基準省令と、こども家庭庁の留意事項通知・公式様式を実際に確認して書いています。

この記事でわかること


1. 義務の根拠:省令第26条第5項〜第7項(放デイに準用)

放デイの自己評価・保護者評価の根拠は、「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号。以下「省令」)です。児童発達支援の規定(第26条「取扱方針」)を第71条で放デイに準用しています。

条文の構造は3段です。

  1. 質の評価と改善の義務(第26条第5項): 提供するサービスの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない
  2. 評価の方法(第26条第6項): 質の評価・改善に当たっては、従業者による評価を受けた上で自ら評価(自己評価)を行い、さらに保護者による評価(保護者評価)を受けて、その改善を図らなければならない
  3. 公表の義務(第26条第7項): おおむね1年に1回以上、自己評価・保護者評価・改善の内容を、保護者に示すとともに、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならない

(出典: e-Gov法令検索 平成24年厚生労働省令第15号 第26条・第71条)

順番に意味があります。「①従業者がまず評価 → ②それを踏まえて事業者が自己評価 → ③保護者の評価を受ける → ④改善 → ⑤保護者への提示と公表」。従業者評価を飛ばしていきなり管理者が自己評価表を埋める運用は、条文の想定と違います。

評価すべき7つの事項(第26条第6項)

省令は評価事項も列挙しています。

  1. 障害児・保護者の意向、障害児の適性、障害の特性その他の事情を踏まえた支援を提供するための体制の整備の状況
  2. 従業者の勤務の体制及び資質の向上のための取組の状況
  3. 事業の用に供する設備及び備品等の状況
  4. 関係機関及び地域との連携、交流等の取組の状況
  5. 障害児・保護者に対する必要な情報の提供、助言その他の援助の実施状況
  6. 緊急時等における対応方法及び非常災害対策
  7. 業務の改善を図るための措置の実施状況

令和6年度報酬改定では、この自己評価・保護者評価について「実施方法を明確化する《運営基準》」という見直しが行われています(出典: 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」)。現行の第26条第6項・第7項の「従業者評価を受けた上で自己評価→保護者評価→公表」という流れは、この明確化を反映したものです。


2. 未公表減算:率は100分の85、要件は「届出」

率とかかり方

こども家庭庁の留意事項通知(改正後全文)第二の2(1)(8)は、「質の評価及び改善の内容を公表していない場合」について次のとおり定めています。

「届出」まで完了して初めて回避できる

同通知の④・⑤が、この減算の核心です。

④ 公表方法については、インターネットの利用その他の方法により広く公表するものであることとし、その公表方法及び公表内容を都道府県に届け出ることとする。 ⑤ 当該減算については、自己評価結果等の公表が都道府県に届出がされていない場合に減算することとなる。具体的には、届出がされていない月から当該状態が解消されるに至った月まで、障害児全員について減算するものであること。 (出典: 同(8)④⑤)

つまり実務のゴールは「公表」ではなく「公表+都道府県(指定権者)への届出」です。期間の型にも注目してください。「届出がされていない月から、解消されるに至った月まで」——気づいた月に届出まで済ませれば、その月で止まります。逆に放置すれば、障害児全員×毎月15%で累積します。

報酬告示上は、指導監査通知の別紙(指定放課後等デイサービス・第9)に「指定通所基準第71条…において準用する指定通所基準第26条第5項に規定する基準に適合するものとして都道府県知事又は市町村長に届け出ていない場合 100分の85」と掲げられています。率は、こども家庭庁「障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年度)」の放課後等デイサービス給付費の欄でも×85/100と確認できます。

なお、留意事項通知(8)⑥は、指導に従わない場合には特別な事情がある場合を除き指定の取消しを検討するとしています。


3. 実務の回し方:こども家庭庁の公式様式(別紙1〜5)

「何の様式で評価すればいいのか」には、国の公式回答があります。こども家庭庁の「各種ガイドライン・手引き等について」ページに、放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月改訂版)と併せて「放課後等デイサービス自己評価・保護者評価」のExcel様式が公開されています。中身は5枚構成です(2026年7月27日にファイルを取得してシート構成を確認)。

様式 用途
(別紙1) 従業者向け評価実施シート 従業者一人ひとりが「はい/いいえ」+自由記述で事業所を評価
(別紙2) 保護者向け評価実施シート 保護者へ配布・回収するアンケート
(別紙3) 自己評価総括表(公表) 従業者評価を踏まえた事業所としての総括(公表用)
(別紙4) 保護者評価集計シート(公表) 保護者評価の集計結果(公表用)
(別紙5) 事業者用自己評価シート(公表) 事業所の自己評価結果(公表用)

この構成自体が、省令の「従業者評価→自己評価→保護者評価→公表」の流れをそのまま形にしたものです。年間の回し方に落とすと、次のようになります。

  1. 評価月を年間計画に固定する(おおむね1年に1回以上。前回公表からの間隔で管理)
  2. 別紙1を全従業者に配布・回収(記名は不要でも、実施した事実と枚数は記録)
  3. 別紙2を保護者に配布・回収(配布数・回収数を記録)
  4. 従業者評価を踏まえて別紙3・別紙5を作成し、保護者評価を別紙4に集計
  5. 改善目標・改善内容を明記する(評価だけで改善が書かれていないものは、条文の要求を満たしません)
  6. 結果を保護者に示す(配布・説明)+インターネット等で公表(自事業所サイト等)
  7. 公表方法・公表内容を指定権者に届け出る(様式・提出方法は指定権者ごと)
  8. 1〜7の日付・証跡(配布物・集計・公表ページ・届出控え)を1つのフォルダにまとめて保存

自治体差が出るところ

国の通知が定めるのは「公表方法及び公表内容を都道府県に届け出る」ことまでで、届出の様式・提出先・締切は指定権者(都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市)ごとに異なります。「毎年◯月末までに提出」と期限を切っている自治体もあれば、公表後随時とする自治体もあります。必ず自分の指定権者の障害福祉主管課のページで、届出様式と期限を確認してください。


4. 混同注意:同じ「100分の85」の支援プログラム未公表減算

放デイには、85%型の減算がもう1つあります。支援プログラム未公表減算です(令和7年4月1日から適用)。

自己評価結果等未公表減算 支援プログラム未公表減算
対象 事業所の質の評価(自己評価・保護者評価・改善内容) 5領域(健康・生活/運動・感覚/認知・行動/言語・コミュニケーション/人間関係・社会性)との関連性を明確にした事業所全体の支援計画
根拠(省令) 第26条第5〜7項(第71条準用) 第26条の2(第71条準用)
頻度 おおむね1年に1回以上 策定・公表(更新頻度の法令上の定めは確認できず。変更時の扱いは指定権者に確認)
減算率 所定単位数の100分の85 所定単位数の100分の85
期間 届出がされていない月から解消月まで(障害児全員) 届出がされていない月から解消月まで(障害児全員)
共通の落とし穴 公表だけでは足りず、公表方法・公表内容の都道府県への届出まで必要 同左

(出典: 留意事項通知(改正後全文)第二の2(1)(8)・(8の2))

どちらも「作った・載せた」で満足して届出を落とすと、そこから減算が走ります。年1回の自己評価のタイミングで、支援プログラムの公表・届出の状態も一緒に棚卸しするのが効率的です。

5. そのまま使える|自己評価・保護者評価チェックリスト

6. よくある誤解

「ホームページに載せたから完了」 → 減算の要件は「届出がされていない場合」です。公表+指定権者への届出まで完了して、初めて減算を回避できます。

「保護者アンケートだけやればよい」 → 順番は「従業者評価→自己評価→保護者評価→改善→公表」です。従業者評価の欠落は、運営指導で条文どおりに確認されます。

「減算は1%程度」 → この減算は所定単位数が85%になる型です。身体拘束・虐待防止・BCPの「1%減」型と混同すると、影響額を大きく見誤ります。

「介護のサービス評価と同じ枠組み」 → 放デイは児童福祉法体系(こども家庭庁所管)です。介護保険の情報公表・運営情報とは制度も様式も別物です。


出典一覧(すべて2026年7月27日に参照)

本記事で「確認できなかった/要確認」とした事項

※本記事に記載した条番号・減算率は、上記一次情報を2026年7月27日時点で参照して確認したものです。制度は改正されます。


免責


書類づくりの時間を短縮したい場合

ここまでの手順どおりに進めれば、自己評価・保護者評価の実施から公表・届出までご自身で回せます。公式様式が公開されているので、必要なのは年間スケジュールに落として証跡を残す運用だけです。

まず全体像を無料で確認したい場合は、放課後等デイ 実地指導 準備チェックリスト(要点版) を無料でダウンロードできます(メールアドレスの登録が必要です)。

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※デジタル商品のため、ダウンロード後の返金はお受けできません(ファイルの破損・不具合等があった場合は、再送または返金で対応します)。

収録物はすべて記入例=要編集のテンプレートで、そのまま提出・掲示できる完成品ではありません。士業の独占業務(作成代行・提出代行・個別の法令判断・代理)の代行ではありません。運営指導の結果・減算回避・加算取得を保証するものではありません。要件・様式・頻度は指定権者および年度により異なるため、最終確認は原典(省令・告示・通知)と指定権者の資料でお願いします。

本記事は制度の理解を助けるための一般的な情報提供であり、行政書士・社会保険労務士等の独占業務の代行ではありません。ひな形・記入例はそのまま提出できるものではなく、各事業所の実態に合わせた編集が必要です。運営指導の結果・加算の取得・減算の回避を保証するものではありません。制度は改正されます。必ず指定権者(都道府県・市)およびこども家庭庁等の最新の公表資料をご確認ください。

研修も指針もBCPも、作る時間がない場合

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